狭小地で快適に暮らすための秘訣。失敗しない「土地選び」や「間取り作り」のコツ
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狭小地で快適に暮らすための秘訣。予算に合わせて家を建てるなら、失敗しないように注意が必要です。土地選びから間取り、建築、住み心地まで、狭小地のメリットとデメリットをまとめました。家づくりの参考にどうぞ。
目次
狭小地とは
狭小地とは、その名の通り、広さが限られた土地のことです。しかし、狭小地には一体どのような基準があるのでしょうか。そして、狭小地にはどんな特徴があるのでしょうか。それらについて見ていきましょう。
◆狭小地
狭小地の定義は明確ではありませんが、一般的には敷地面積が15坪以下の土地を指します。近年、狭小地の広さの目安は年々狭くなっている傾向にあります。
これは、都市部における土地の価格が高騰しているため、広い土地を確保することが困難になっていることが一因です。また、核家族化や少子化が進んでいることも、狭小地の需要が高まっている理由の一つです。
◆狭小地・変形地
狭小地は、地価の高い都心部の狭小地や変形地でよく見られます。狭小地とは、狭くて小さな土地のことで、一般的に15坪以下の土地を指します。
変形地とは、きれいな四角形の整形地ではなく、三角形や細長い敷地、崖際の敷地、旗竿地などの土地を指します。
狭小地は、狭い土地でも快適に暮らせるように、間取りや設備に工夫がされています。例えば、縦長の間取りにして、空間を有効活用したり、収納スペースをたくさん設けたりしています。
狭小地は、都心部に住みたい人や、個性的でデザイン性の高い住宅を求める人に人気があります。しかし、狭い土地で暮らすことになるため、窮屈に感じることもあるかもしれません。狭小地を検討する際には、メリットとデメリットをよく比較検討することが大切です。
狭小地に住むときのメリット・デメリット
◆メリット
- 土地代が安い
狭小地は、土地が狭い分、土地代を抑えることができます。特に、都心部では土地が高価なため、狭小地は大きなメリットになります。 - 維持費が安い
狭小地は、建物が小さい分、維持費も安く抑えることができます。例えば、固定資産税や都市計画税は、建物の床面積に応じて課税されるため、狭小地は大きなメリットになります。 - 都心部に住みやすい
狭小地は、土地が狭い分、都心部に建てることができます。都心部は利便性が高く、生活しやすいため、狭小地は大きなメリットになります。 - 間取りが工夫されている
狭小地は、限られたスペースを有効に活用するため、間取りが工夫されています。例えば、スキップフロアやロフトを設けたり、収納スペースを充実させたりしています。 - 個性的でデザイン性が高い
狭小地は、自由度が高い分、個性的でデザイン性の高い住宅にすることができます。例えば、三角形や細長い土地に建てたり、ユニークな外観をデザインしたりすることができます。 - 3階建てであれば、固定資産税の軽減措置が受けられる場合があります。
◆デメリット
- 上手に設計しないと窮屈に感じることがある
狭小地は、土地が狭い分、窮屈に感じることがあります。特に、家族が多い場合や、趣味や仕事で多くのスペースを必要とする場合は、窮屈に感じることがあります。 - 建築コストの坪単価が高くなる
狭小地は、建物が小さい分、建築コストの坪単価が高くなります。これは、建築コストは、建物の床面積だけでなく、建物の構造や仕様によっても大きく異なるためです。 - 住宅ローンや住宅ローン控除の面で不利になる
金融機関によっては、一定の広さがないと住宅ローンが借りられないケースがあります。また、「住宅ローン控除」を受ける場合にも延床面積の下限があります。これについては後ほど詳しく説明します。 - ソーラーパネルの設置面積が小さく省エネ対応が難しい
狭小地は、屋根の面積が小さくソーラーパネルの設置面積が限られる上、屋根の勾配も太陽光を受けるのに適した方角に設計する余地があまりないため、太陽光発電による省エネ対応が難しくなります。
妥協できない条件、少し譲歩できる条件を明確にする
住まいづくりや住まい探しでは、優先順位が大事です。予算や工期に限りがなければ、自分のこだわりを全部実現できますが、そうはいきません。 特に狭小地では、どうしても譲れない何かを選んだ代わりに、広さを妥協することが多いでしょう。もう一度、自分がどうしても譲れない条件は何かをはっきりさせておくことが大切です。逆に、どうしても譲れない条件以外は、少し我慢できるということです。土地によって、建てられる条件が違って、希望の面積が建てられなかったり、建物の高さに制限があります。分からないことは不動産会社や建築会社や設計事務所に聞きましょう。
狭小地に建てるときの土地の選び方のコツ
最初から狭小地を建てたいと思う人よりも、予算や立地の便利さを重視して、狭小地や変形地に狭小地を建てるという人の方が多いでしょう。では、狭小地や変形地でも、狭小地に向いている土地というのは存在するのでしょうか。
◆狭小地に向いている土地は、北側に道路がある土地
狭小地は、横に広くできない分、縦に高くすることになります。でも、北側斜線制限(自治体によってはもっと厳しい高度斜線があることもあります)や道路斜線制限が邪魔をします。北側斜線制限と道路斜線制限の両方があると、3階建てが無理だったり、3階の部屋がすごく小さくなったりします。 でも、北側に道路があると、北側斜線制限と道路斜線制限の厳しい方だけでいいし、『北側斜線の道路緩和』が使えるから、住宅地の隣よりも3階の部屋を大きくできます。
北側斜線制限とは、建物の北側に斜めの線を引いたときに、その線から建物が一定の高さ以上にならないようにする制限です。これは、北側の隣家に日当たりを確保するためです。
道路斜線制限とは、建物の道路側に斜めの線を引いたときに、その線から建物が一定の高さ以上にならないようにする制限です。これは、道路からの視線を遮断するためです。
ただし、高さに関する制限は、自治体によって異なります。狭小地を建てる際には、必ず自治体に確認するようにしましょう。
その他の高さに関する制限は次のとおりです。
- 高度斜線制限(自治体によって違う)
- 日影規制(周りの日光を守るための規制)
- 隣地斜線制限
- 絶対高さ制限
- 外壁後退
日影規制は、建物の高さを決めるときに影響します。他の制限も細かいルールがあります。自治体の条例で決まっていることもありますから、不動産会社に聞いて自治体に確かめておくと安心です。
◆狭小地を建てるときの土地の選び方のポイント
土地の形状よりも、周囲の環境の方が重要です。
例えば、旗竿地で古屋が建っていたとしても、更地になった状況をイメージしてください。近隣の建物の高さや窓の位置、近隣の建物と建物のすき間などをチェックします。光の入り方によっては、十分明るい家を建てることも可能です。
また、前面道路の幅、道路付け(土地のどの方角に道路があるか)、電線の位置なども、建てられる建物の大きさや建築コストに影響するのでチェックします。
土地の形状は、家を建てる際に制約となりますが、周囲の環境の方が、家が建った後の快適さや暮らしやすさに影響します。土地を選ぶ際には、周囲の環境を重視しましょう。
土地の選び方が費用に大きく影響します。狭小地のコツ
土地の選び方で家の形や費用は大きく変わります。以下の6つのポイントに注意しましょう。
◆用途地域
用途地域は、建物の用途や大きさに制限をかける地域です。住居系、商業系、工業系の3つに分かれます。住居系は住環境が優先され、商業系は商業施設が多く、工業系は工場が多いです。土地の価格は一般的に住居系より商業系の方が高く、騒音も気になることがあります。
◆防火地域・準防火地域
防火地域・準防火地域は、火災の危険を防ぐために指定される地域です。防火地域では耐火建築物、準防火地域では準耐火建築物等にしなければなりません。これによって建築コストが高くなることがあります。インターネットで調べることができます。
◆建ぺい率(建蔽率)・容積率
建ぺい率(建蔽率)は、土地に対する建物の面積の割合です。容積率は、土地に対する建物の階数や高さの割合です。これらによって建てられる家の広さや大きさが決まります。用途地域ごとに指定されていますが、同じ用途地域でも幅があるので、物件情報で確認してください。また、一定の条件を満たせば緩和措置や除外措置があります。
◆崖地の擁壁工事費用
土地の高低差が2m以上ある場合、擁壁を設けることが義務付けられています。また、崖崩れや土砂災害等が懸念される場合、宅地造成工事が必要になることもあります。これらによって擁壁工事や宅地造成工事のコストがかかることがあります。
◆地盤改良費用
軟弱な地盤の上に家を建てると、家が傾いたり倒れたりするリスクがあります。そのため、地盤調査を行い、軟弱な地盤の場合には地盤改良をします。表層改良、柱状改良、鋼管杭などの方法があります。これらによって地盤改良コストがかかります。土地購入前に近隣データを調べて予想しておきましょう。
◆電線の位置
電線が道路寄りにあると、クレーンが使えず手運びになる可能性があります。これによって手間やコストが変わることがあります。
住宅ローンや住宅ローン控除に関する注意事項
狭小地は、住宅ローンや住宅ローン控除の面で不利になる可能性があります。 住宅ローンを借りるときは、金融機関が土地や建物の価値をどう見るかに注意が必要です。金融機関によっては、敷地面積や延床面積が一定以上でないと、住宅ローンを貸してくれないことがあります。たとえば、【フラット35】では、一戸建ては延床面積70㎡以上でないと融資対象外です。
住宅ローン控除を受けるときも、床面積の条件があります。延床面積40㎡以上(控除を受ける年の年収1,000万円以下の場合)か、延床面積50㎡以上でないと、住宅ローン控除が適用されません。(2022年7月現在)
前面道路の影響
狭小地を建てるときは、前面道路の幅や種類によって、建築に制限がかかることがあります。具体的には、以下のような影響が考えられます。
◆セットバック
家を建てる土地は、4m以上(場所によっては6m以上)の道路に2m以上接する必要があります。しかし、4m未満の狭い道路も多くあります。 4m未満の道路に面した土地で家を建てるときは、土地を後退させる(セットバックする)必要があります。 セットバックした部分には、建物や門や塀などを建てられません。また、敷地面積からセットバックした部分を引いて、容積率や建ぺい率(建蔽率)を計算します。そのため、セットバックがあると、建てられる家の大きさが小さくなります。
セットバックの幅は、道路の向こう側が宅地なら、道路の中心から2mずつ確保するようにします(道路幅が3mなら50cmずつ後退)。道路の向こう側が川や崖、線路などなら、道路幅が4mになるようにします(道路幅が3mなら1m後退)。
◆工事車両の進入・駐停車
前面道路が狭いと、工事車両が入ったり止まったりできないことがあります。
大型重機が使えないと、人力で資材を運ばなければなりません。駐停車できないと、作業に時間がかかります。どちらも建築コストが高くなる可能性があります。
◆私道
前面道路が公道ではなく、個人や複数人が持っている私道の場合でも、法律の条件を満たせば、家は建てられます。ただし、私道を掘って配管工事などをするときは、私道の持ち主や管理者の許可が必要です。
住宅メーカーや工務店の選び方
狭小地を建てるときは、住宅メーカーや工務店、建築設計事務所など、さまざまな会社に依頼できますが、すべての会社が狭小地に対応できるわけではありません。狭小地に適した会社を選ぶためには、以下の点に注意しましょう。
重機が入らない土地は対応できる会社か確認 旗竿地など、重機が入らない土地で家を建てる場合は、人力で資材を運んだり、棟上げしたりする必要があります。しかし、工法や体制の都合でこのような作業ができない会社もあります。
変形地に合わせた家は対応できる会社か確認 変形地を有効に使おうと、特殊な形状の家を建てたい場合は、対応できる会社か確認しましょう。一般的な形状の家しか建てられない会社もあります。
狭小地の実績が豊富な会社や建築家に相談 狭小地に対応できる会社の中でも、狭小地が得意な会社や建築家に相談すると、より良い提案がもらえる可能性が高まります。狭小地の施工実績やプランをチェックして、会社を選びましょう。
建築士が狭小地での建築設計するときに気を付けていること
狭小地での間取りの工夫
狭小地では、限られたスペースを快適に使うために、設計や間取りに工夫が必要です。
一般的に建築士が狭小地の間取りを設計するときに気を付けていることは、以下の通りです。
◆高低差をつける
平面的な床面積が狭いと、部屋が狭く感じます。でも、高低差をつけると、視線が変わって、部屋が広く感じられます。
◆視線を抜く
窓や外部空間が視線の先にあると、部屋が開放的に感じます。間仕切りは少なくして、視線を抜くレイアウトにします。 階段も蹴込み板がないと、視線が抜けて、開放感があります。
◆高さ方向の空間を利用する
南側に窓があって、北側の高いところに空間があると、自然に空気が流れて換気できます。光は、天窓や高窓から落とすといいです。
◆リビングは日当たりのいい場所か天井高のある場所に
リビングは2階以上にしたり、吹き抜けにしたりして、光を取り込みます。二世帯住宅では、1階のリビングもあるかもしれませんが、その場合は、床面を下げて天井高を確保したり、高窓をつけたりして、光を取り込む工夫をします。
◆収納は一か所にまとめる
小さなクローゼットを部屋ごとにつくると、部屋が使いづらくなります。家族全員分の衣類を入れられるファミリークローゼットなど、収納は一か所にまとめた方が使いやすいです。
◆無駄なスペースを収納にする
階段下や段差など、メインの収納以外のスペースも収納に活用すると、必要な収納量を確保できます。
◆外部空間を使う
バルコニーや中庭などの外部空間は延床面積に含まれませんが、視線や光を取り込む効果があります。
◆容積率の緩和になる空間を使う
小屋裏収納やロフト、地下室、ビルトインガレージなどは床面積があっても延床面積に全て算入されないことがあります。これらの空間を使えば、生活スペースを広くできます
間取りでよくある失敗
細長い土地での玄関の配置のコツ 細長い土地に狭小地を建てるときは、玄関の配置に注意しましょう。正面に玄関をつくると、廊下に沿った部屋が狭くなります。 そこで、建物の横に室外通路をつくって、そこから玄関に入るようにすると、スペースを有効に使えます。室外通路は自転車置き場にもなりますし、床面積も節約できます。
建築中の注意事項
狭小地を建てるときは、敷地や道路が狭いことが多いので、建築中にもいくつか注意することがあります。
◆近隣との関係
狭小地は隣家との距離が近いので、近隣との関係を大切にしましょう。例えば、足場を設置するために隣家の敷地に入る必要がある場合もあります。そのような場合は、事前に挨拶や説明をして、許可をもらうようにしましょう。
◆工事車両の駐停車
建築中は工事車両がよく現場に来ます。狭小地周辺の道路は狭いことが多いので、工事車両が邪魔にならないようにしましょう。施工会社に駐停車の場所や時間を指示しておくといいです。
また、道路上に工事車両を長く止める場合は、警察に道路使用許可を申請する必要があります。
暮らして不便に感じること
狭小地に住んでいる人は、どんなことが不便だと思っているのでしょうか。
◆開放感がないと窮屈に感じる
敷地が狭いので、出窓をたくさんつけても、開放感がなくて窮屈だったという人がいます。 同じ敷地で建て替えたときは、スキップフロアにして視線を抜くようにしたら、開放感が出て、窮屈さがなくなったそうです。
建築中は工事車両がよく現場に来ます。狭小地周辺の道路は狭いことが多いので、工事車両が邪魔にならないようにしましょう。施工会社に駐停車の場所や時間を指示しておくといいです。
狭小地では、面積だけでなく、視線や高さを工夫することが大切です
◆トイレの位置が遠いと不便
狭小地は3階建てにすることもあります。そのときは、トイレの位置に注意しましょう。例えば、1階に水廻りをまとめるときに、トイレも1階にすることがあります。でも、トイレが1階に1カ所しかないと、3階からトイレに行くのは大変です。
狭小地や変形地に建築するなら自由住宅
自由住宅では、都心で多くの狭小地や変形地などの土地に設計・建築を行っています。長年の経験とノウハウで、敷地の特徴を活かしたデザイン性と機能性の高い住まいを提供しています。狭小地や変形地でも、広く快適に暮らせる家づくりをお手伝いします。
狭小地や変形地に住宅を検討している方は、是非ご相談ください。
※記事内容は、自由住宅NAVI独自の調査と見解によるものです。